【エリミネーター250SEで行く】北海道バイクツーリンツその⑥

どうも、旅する男、ミシマオコゼです。

逃げ出した先の楽園を探して、北海道まで来てしまった男の6日目の記録です。

さまざまな出来事を乗り越え、ついに北海道を去る日が来ました。ここに来るまでにたくさんの出会いと別れがありました。名残惜しいですが、北海道編はこれで最後です。


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山越えルートで再び支笏湖へ

8月29日。

札幌から苫小牧西港フェリーターミナルを目指します。

先日は無事に札幌にたどり着けましたが、フェリーターミナルのある苫小牧まではまだ70km以上あります。

行きと同じ山越えルートを通るか、市街地ルートを通るか…

しかし、先日調べたが、山越えルートはヒグマの出没地帯…

うーむ、なやむ。

まっ、なんとかなるか。

ということで、初日と同じく帰りも支笏湖を通って帰ることにしました。

市街地を通って帰ったほうが、平地が多くてエンジンへの負担は減るかもとも思いましたが、季節は夏。

稚内ならいざしらず、札幌まで来ると気温もそこそこ上がる。

北海道は思っていたより交通量が多いので、道のど真ん中でエンストは避けたい…

山側はほとんど車通りがないので、最悪エンストしても追突は避けられるか…

それに、オーバーヒート寸前のエンジンには、冷やしたほうがいいと考えたのだ。

行きの支笏湖ルートは、ずっと雨だったこともあり、エンジンはすこぶる好調だった。

その日は曇りだったので、山に登れば雨が降るかもしれないという可能性にかけることにしました。

朝早めに出発したこともあり、山まではさくさく進む。

気温もそこまで暑くないし、このままいけるのではないかと期待が高まる。

しかし、再び悲劇は起きた。

登山の勾配には耐えられず、停止するエンジン。

しかも、ここはヒグマの出没地帯。

数々の困難を乗り越えてきた俺だが、やはりヒグマに勝てるとは思えない…

初日のエンストのような動揺はないが、対抗策くらいは考えなければ…

OK、俺は冷静だ。

頭はクールに、心は熱く。

れれっ冷製にヒグマとたたた戦う散弾を考えるんだ。

 

  1. バイクを盾にして攻撃を防ぐ
  2. テントを広げて威嚇する
  3. 諦めて食われる

…とりあえず③はないなw

そんなことをバイクを押しながら考える。

そうだ!

④バイクを盾にしてヒグマの足にバイクを倒して、ひるんでるスキにハンマーで頭蓋骨を砕く

ktkr!

またしても自分の才能が憎いぜ。

いや待てよ、ヒグマが一頭で襲ってくるとは限らない…

複数来たらどうする?

逃げ場がない…

そんなことを考えながら山の中腹までバイクを押す。

実はけっこう心に余裕がある。

まあ、冷却機能自体はまだ生きてるからしばらく冷やせば走るんだけど、それまで押して少しでも進む。

20分くらい押して、エンジンも冷えて復活したところで、再始動。

エンジンはかかってくれた。

そして、さらに運がいいことに、雨が振り始めた。

どうやら天は俺の味方らしい。

テンションあげて走り出し、支笏湖を目指す。

支笏湖再び。ヤツとの対峙。唐突なバトル

なんとか10時前に支笏湖に到着。

行きも天気が悪かったが、帰りもあいにくの曇り。

透明度No1の支笏湖を堪能することはできなかった。

ガソリンスタンドのおっちゃんいわく、8月の北海道がここまで寒いのは珍しいとのこと。

なるほど、好都合だ。

やはり俺は運がいい。

早めについたということもあり、支笏湖周辺の売店はどこも閉まっている。

腹減ったなあ。

カヌー体験の店は開いてるけど、カヌーじゃ腹は膨れねえしなあ…

それになにより、旅の肉体疲労と精神疲労からか、筋肉が良質なタンパク質を求めている!

湖と言えば、ニジマスとか川魚の塩焼き!

食わずにはいられない!

しかし、支笏湖名物ヒメマスの塩焼きを串刺しで売っている場所はすでにと通り過ぎてしまった…

ファ○ク…

美しい湖に向かってひとり悪態をつく…

湖畔の飯屋はほとんどが10時半に開店する模様…

暇やなあ…

おっ?支笏湖ビジターセンターなる施設が空いとるやんけ!

行くしかない!

そして、そこでやつと出会う…

 

 

やつは悠然と俺を待ち受けていた…

まさかこんなところで相見えるとは…

やつはすでに臨戦態勢…

こちらには武器はない…

どうする…

そう…

そいつの名は…

ヒグマー!!!(AA略)

 

まあ、ヒグマの剥製が展示してあったんですよw

これはいい。

ヒグマと戦うときのイメージトレーニングに使える。

しばしヒグマの剥製と戯れる。

ふむ、全身が硬い毛皮によって守られている。

剥製だからか、細身なヒグマだが、骨格はなかなかに堅牢だ。細身と言っても、まっすぐ立ち上がれば2mはありそうだ。

頑丈な牙と爪だ。これなら木を削ったり獲物の骨を噛み砕くのは容易だろう…

結論。

ヒグマと戦うの無理じゃね?

こんな生物勝てるわけないわwww

さっきまでバイク押しながら勝てる気になってた自分の浅はかさにようやく気づく、平成最後の夏…

うん、つぎに来るときはいいバイクで来よう。

ヒグマに遭遇したら確実に逃げ切れる性能のバイクを買おう。

ヒメマスうまし

支笏湖畔をバカなこと考えながら満喫していたら、いつの間にか売店が開く時間になった。

相変わらず筋肉たちが、肉食うべしと脳に命令を送っている。

グーグル先生に聞いてみた結果、支笏湖ってヒメマスが名物らしい。

マスといえばサケ科の魚。良質なタンパク質が摂れることは想像に難くない。

俺の脳内はヒメマスの塩焼きのイメージで埋め尽くされていた。

血眼でヒメマスが食える店を探す。

支笏湖観光センターまで戻る余裕は今の俺のバイクにはない。

ここで食うしかないのだ。

ヒメマスの握り寿司?

いらん!

そんなおしゃれな食い方がしたいわけじゃない!

ヒメマスのちらし寿司だと?

今そんな気分じゃねえ!

塩焼きに食らいつきたいんじゃ!

飢えたハイエナのような足取りで湖畔をうろつく。

このままでは俺が猛獣になってしまいそうだ。

目を凝らして塩焼きの文字を探す。

あった!

そして、「単品もございます。1300円」と書かれているのを見つける。

脊髄反射でその店に入る。

注文まで数秒(つーか食券式)

焦って小銭を落とす(どんだけ食いたいねん)

そして、食す。

 

うまし…

もはや語るまい。

この北海道旅行で食ったものの中でも一番の旨さであった。

こんどはヒメマスを釣りに、来年もまたここに来よう。

北海道に行く理由がまた一つ増えてしまった。

昼近くになったが、気温もそれほど上がらなかった。

どうやら今年の北海道は異常気象というのは本当らしい。

気を取り直して、残り30分、苫小牧フェリーターミナルを目指す。

別れと出会い

昼過ぎ、フェリーターミナル到着。

出港まではまだ6時間ほどある。

暇だなあ…

とりあえず寝るか。

ブログでも更新するかとカチャカチャやってみたけど、疲労と安堵と、寂しさと、いろんな感情が入り混じってそれどころではない。

1時間ほど睡眠をとった後、ターミナル内を散歩する。

今日までの北海道の旅を思い返していたら、あっという間に出港の時間になってしまった。

大洗から乗ったときと同じように、また「さんふらわあ」に乗り込む。

行きはワクワクしかなかったが、帰りはなんとも、夕日とさんふらわあのコントラストが哀愁をさそう。

バイクの列に並んでいると、どうやら同じ思いを感じていたのか、古いSR400に乗った青年が話しかけてきた。

「バイク、かっこいいっすね。どこのバイクですか?」

間違いない。こいついいやつだ。

人のバイクを素直に褒めれるやつはいいやつだ。これからバイクに乗ろうと思ってるやつは覚えとけ。

聞けば青年は大学生で、去年も北海道を訪れて、すっかりその魅力に取り憑かれてしまったようだ。

青年は、「去年は僕も宗谷岬を目指してて、途中ダートを走ったらタイヤがパンクして大変だったんすよw」と言った。

初北海道でバイクをぶっ壊すのはよくあることのようだ。

親近感を覚えつつ、青年と話し込む。

いま乗っている古いSRは、親父さんから譲ってもらったもので、キャブのオーバーホールなどは自分でやっているらしい。

大したものだ。やはり若い人は優秀だ。

すっかり話し込んでいる内に、バイクが乗り込む順番に、飯の後にまた話す約束をして、一旦別れる。

青年に以外にも、定年退職したので北海道にきたという初老の紳士にも話を聞いた。

この初老紳士は、昼過ぎに苫小牧ターミナルの駐車場でバイクの待機場所がわからなくて迷っていたところを、僕が案内したときの人だった。

聞けば、「あなたはまだ若いからまた来れるけど、私は人生で最後かもしれない」と言った。

アラサーに突入した僕も、初老紳士からしたら、まだまだ若造ということだろう。

愛車のハーレーの話と(ほとんどハーレーはマジやめとけって話だった)、人生についての話をした。

いろいろな人が、それぞれの思いを抱えて北海道の大地を走っているのだと実感した。

その後は、先程の青年と再び合流し、軽く飲みながら人生や、バイクについて語り合った。気づけば深夜であった。

つづく

【エリミネーター250SEで行く】北海道バイクツーリンツその⑦

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